昨日は祖母の三十三回忌法要でした。
私が六才の時に亡くなったのですが、母からその連絡が来た瞬間を今でもハッキリ、鮮明に憶えています。
八畳間のブラウン管の前で、バルセロナオリンピックの陸上を見ていました。 四角い髪型にスポーツ選手らしからぬスラッとしたスタイルのカールルイスが無敵の強さを誇っていた時代です。あの頃の小学生は皆、彼に習って手を開いて走っていたものです。
彼の圧倒的な速さに瞬きを我慢しながらテレビにかじりついていると、裏口から母が泣きながら私のところへ来て祖母の不幸を告げました。瞬間に私の目からも涙が溢れ、大泣きしました。
バルセロナの夏はそこで終了し、ひたすらに泣き崩れました。
そこで記憶は終わり、葬儀などの一連の儀式の思い出は全くありません。
住職のお経を聞きながら再び三十三年前の記憶のプールでプカプカ浮いていました。
そもそも祖母が亡くなった12月にオリンピックはやりませんし、六才の時はオリンピックイヤーではないし、バルセロナオリンピックは僕が十五才の時でした。
そんなことはもうどうでもいいのです。
子供の記憶なんてそんなものなのです。
ご住職がおっしゃっていました
33三回忌を終え、いわゆるご先祖様と言われるようになります。
東京オリンピックのとき、私の息子は7歳。
どんな記憶が残るのかな。